今回は海外のADHD事情についてお伝えします。
学校に通っている子どものうちアメリカでは11%、日本では10%がADHDと診断されている中、フランスでは半数の5%以下であるという報告があります。
なぜフランスではADHDの子どもが少ないのでしょうか。
フランスではADHDの子どもが生まれてくる確率に違いがあるのか、その真相についてお伝えしていきます。
目次
生まれつきと考える日本と環境で発症すると考えるフランス
そもそもADHDの発症の原因について日本とフランスでは考えに違いがあります。
アメリカと日本ではADHDは先天性の障害であり、生物学的な原因で生じるものとされています。
治療も生物学的な方法を使っており、薬も必要に応じて処方するという考えです。
一方、フランスではADHDは環境や心理的な面が原因で生じる精神疾患だと考えられています。
そのため、フランスの治療法では薬は使わずに、その子どもが抱える社会的環境問題を見つける出すことから始まります。
フランスでは心理面から治療のアプローチをしていきます。
2つの診断方法DSMとCFTMEA
診断方法にも日本とフランスでは違いがあります。
アメリカと日本は「DSM」というアメリカ精神医学会が作成した診断システムを使ってADHDの診断をします。
一方、フランスでは「CFTMEA」という診断システムを使用しています。
フランスが行っている「CFTMEA」は症状の中で心理的に隠れた原因を見つけることを重視した診断システムです。
薬の処方を嫌うフランス
フランスでは、原因を見つけたら心理療法による治療を受けるか、家族カウンセリングによって改善するかを選びます。
またフランスでは治療法のひとつに食事療法も取り入れています。
着色料や保存料などの添加物や、食物アレルギーの原因となる食物を食べた直後に行動面に悪影響が現れる子どももいることがわかっているからです。
フランスでは薬は処方せず、国家レベルで心理的治療と食事療法での治療に力を入れています。
というのも、背景にフランスでは昔から薬を使った治療に強いマイナスなイメージがあるためです。
オーガニックなものを愛する文化なゆえ、極力自然のもので治療する考えを持っています。
フランスにADHDの子が少ない理由は診断基準の違い
- フランスは、診断基準が日本と異なっていること
- フランスでは国がなるべくADHDと判定しない方針であること
この2点が大きな理由としてあげられ、診断がおりる子どもは少ないのです。
国によってADHDの子どもが生まれてくる確率が違うということではないようです。
このことに関しては、”国籍による発症の大きな違いはない”という論文も発表されています。
一見、薬を使わないフランスの治療法の方がよく見えてしまうこともありますが、懸念点もあります。
フランスの治療の懸念点
フランスでは重度のADHDの子どもに対して、薬の処方を家族が希望しても、なかなか処方されないということが起きています。
薬による治療を受けられずに苦しいんでいる子どもたちが存在しているのが現状です。
フランスの重度のADHDの子どもたちは薬を服用することができず、過剰な喫煙や学校を退学するなどの問題が起きています。
フランスでは専門医の予約を取るのに8か月、薬を処方してもらうのにさらに8か月待たないといけません。
またフランスでのADHDにおける治療方法や親の認識も先進国の中では、遅れていると言われています。
いかがでしたか。
日本とフランスのADHDの
・原因因子の捉え方
・診断方法
・治療方法
・薬の処方
・診断基準
についての違い。
また、
・ADHDの発症において国によって違いはない
ということについてお伝えしました。
フランスで問題視されている、薬の処方については、何が子どもにとって良いのか、薬の作用や副作用も知った上で処方を受けるかどうかを、私たち親は考えなくてはなりません。
それでは!