ギフテッドの子の中でもIQが高い子どもの脳には共通した特徴があることがわかっています。
発達障害もギフテッドも脳の作りの違いから生じるものですが、IQの高いギフテッドの子どもの脳にはどのような違いがあるのでしょうか。
IQが高い子どもは大脳の成長が遅い!?
IQが高い子どもの脳に関して面白い論文が発表されています。
2006年にアメリカの国立精神衛生研究所が発表した論文よると、IQが高い子どもの脳はそうでない子どもの脳に比べて、大脳の一部である前頭前皮質の厚さが薄いといいます。
これは300人以上の6~19歳の子どもたちの脳をMRIで撮り調べたものです。
成長過程のおいて、前頭前皮質は7、8歳で厚みがピークに達するのですが、IQの高い子ども(この研究ではIQ121~145の子どもたちのグループ)は12歳で厚みがピークに達することがわかりました。
ピーク時の前頭前皮質の厚さはIQが高い子どもはそうでない子と比べて厚いということがわかっています。
前頭前皮質の厚さがピークに達すると次の成長過程のステップとして脳は成熟プロセスに入ります。
この成熟プロセスというのは厚くなった前頭前皮質が薄くなっていくプロセスです。
IQの高い子どもの脳は前頭前皮質の成長がそうでない子どもと比べてゆっくりであり、成熟プロセスに入ると一気に成熟し、この成熟スピードはそうでない子どもよりも早く進みます。
そして、成熟が終わる頃には前頭前皮質の厚さはそうでない子どもよりも薄くなっているということです。
つまり、まとめると
IQの高い子の脳は前頭前皮質の厚さが厚くなるという成長がゆっくりであること。
そして、ピーク時は厚さも厚く、成熟プロセスに入るのが遅い一方で、成熟プロセスに入った途端一気に成熟し、最終的に厚さは薄くなるということです。
ゆっくりとした大脳の成長は複雑な回路を形成している!
そしてこの調査結果から最初のゆっくりのとした成長は脳の複雑な回路を発達させていくことに役立っているのではないかという考えが濃厚になりました。
前頭前皮質の働きには、「実行機能」があります。
目標を決めて、計画を立て実行する能力や整理整頓能力、また人格形成にも関わってくる分野であるといわれています。
そのため7、8歳のギフテッドの子はまだ前頭前皮質の成長がそうでない子よりも遅れているため、学校での生活で支障をきたしてしまうことがあります。
行動が周りの子よりも遅かったり、片付けができなかったり、そういったことで周りの友達からも先生からも注意されてしまうことがあります。
しかし、成長するにつれて、成熟のプロセスが完了し始めると、ギフテッドの子どもはそれぞれの分野で能力を発揮し始めます。
ギフテッドと気づかず日本のように特別な教育を受られずに大人になってしまった大人のギフテッドがいます。
振り返ってみると子ども時代にこのような特徴を持った人が、大人になって様々な分野で活躍しているということが起きています。
ギフテッドはこういったことからも発達障害の症状と似ているといわれており、その境目はとてもグレーで曖昧です。
だからこそ、発達障害の子どもはギフテッドの可能性が高いといわれているんですね。
それでは!