発達障害についての研究が進む中、最新の研究内容をアメリカの精神医学誌が取り上げ注目を集めています。
カナダのトロントの科学者チームが自閉症スペクトラム、ADHD(注意欠如多動性障害)、OCD(強迫性障害)の子どもの脳に見られる共通した異常を発見したといいます。
今回は共通した異常とはどのようなものなのかお伝えしていきます。
OCD:強迫性障害とは?
まずはじめに、はじめて聞いた方もいらっしゃるかもしれませんので、OCD(Obsessive compulsive disorder)とはどういったものなのかお伝えします。
OCDは強迫性障害といい、不安障害ともよばれています。
自分の意思ではそうしたいわけではないのに、同じ行為を繰り返してしまったり、同じ思考を繰り返してしまい断つことができないといった症状がみられます。
具体的な行為には
- トイレの後などに自分が汚れている気がして何度も手を洗ってしまう
- 出かける際にガス栓や電気が消えているかなどを何度も確認してしまう
- 玄関のカギをかけたか不安になり何度も確認してしまう
などがあります。
35歳以降での発症は少なく、発症の平均年齢は20代前半です。
しかし、子どもの発症もみられます。
発症は小学生頃から見られ、子どもでは1%程度強迫性障害の子がいるとされています。
自閉症スペクトラム、ADHD、OCDの共通点は「白質と脳梁」の異常!
この研究は自閉症スペクトラム、ADHD、OCDの子どもとそうでない子ども200人を対象に行われました。
白質は、細胞と繋がった脳の神経線維の束によって作られたもので、これによって、脳内の違う領域間での伝達を可能にしています。
そしてこの白質について共通した異常を見つけたというのです。
自閉症スペクトラム、ADHD、OCDの子どもはそうでない子どもの脳と比較して脳梁(のうりょう)という右脳と左脳を繋ぐメインとなる管の中で白質の異常が見られました。
同時に、自閉症スペクトラム、ADHD、OCDの子どもは、特定の白質と、脳梁(のうりょう)が脳内で一番大きく発達しているということが明らかになりました。
さらに自閉症スペクトラムとADHDの子どもはOCDの子どもと比べて、脳の異常が多く見られることがわかりました。
この発見により、自閉症スペクトムとADHDの子はOCDの子よりも比較的、発症に気が付くのが早いのではないかという見方も出てきています。
これまで自閉症スペクトラム、ADHD、OCDはそれぞれが別の障害として研究されてきました。
しかし、これら3つは似たような症状を持っていることや、いくつか同じ細胞が原因となっていることからも、関連性について今後も注目していきたいところです。
これら3つの発達障害の似ている点や、異なっている点をよりはっきりと明確化していくことでより個人にあった、効果的な支援につなげていけるのではないかと期待しています。
それでは!